AORを最近では違って言い方をしている事があるけれども、アダルト・オリエンテッド・ロックは1970年代中頃から使われはじめました。だいたい80年代のロックでもポピュラーでもない洋楽、その大方の根っこはアメリカ西海岸。ウェストコースト・サウンドとも当時は言っていましたね。日本の歌謡曲の歌手も録音だけではなく、日本のスタジオでレコーディングしたテープをカリフォルニアのスタジオでミキシングするというのがトレンドでした。
イーグルスの“ホテル・カリフォルニア”の音で代表できる様にカリフォルニアのスタジオでミキシングした音は、日本国内やヨーロッパでの音とは違いました。歌や歌詞よりスタジオ・ミュージシャンがクローズアップされる様になって、嬉しかったプレーヤーも居るんじゃないかしら。1970年代は日本のフォークグループが海外録音と言えば、フランスが常でした。サウンドと言うよりも、レコーディングの環境が音楽に影響するというところでしょう。音では無くてね。
まぁ、テープだけ持って行ってミキシングしてどう変わるのかなって、昨今の宅録やコンピューターを使っての音遊びをしている程度では確かにそう思うでしょう。話は逸れますけれどもリマスタリングは録音されたスタジオで行うべきもので、コンピューターの画面を見つめてノイズを修復しただけでリマスタリングなのかなぁ?
さて、ミュージシャンのデータもサポート・プレーヤーに至るまで詳細にレコードのスリーブに記載される様になっていったのがAORの時代。リスナーのオーディオ装置が整う様になって高音質が歓迎され、大人の鑑賞に堪えうるロックというニーズにアダルト・オリエンテッド・ロックは最適でした。シンガーに楽曲を提供する側だったデヴィッド・フォスターなどが直接、大ヒットに繋がっていくものでした。ニーズを賄いきれるだけのミュージシャンが足りなかった、クリストファー・クロスなど当初はヴィジュアル無しでした。
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