エネルギーは輸入すればいい・・・その風潮をワンシーンで感じさせるのに『ジュリアナ』は良い選択になってました。全体のムード的には異質だったかも知れませんけれども、文字だけや新聞紙面のようなもののインサートよりも印象に残る演出でした。デュークさんは此処にこだわったようで、新しい資源を開発するのにお金を掛けるよりも外国から輸入した方が早いし易かったバブル日本経済。
30分のドキュメントという性格上、バブルを象徴する『ジュリアナ』シーンは初稿からは大幅に削除されてしまった。
そのあたりの残念な思いは、デュークさんのブログ記事「【7/3放送!】私が制作した「次世代エネルギー」番組 (07/02)」として書かれています。
夕方、6時30分から7時の放送、しかも日曜日であることで・・・今では午前0時を過ぎても子供たちが起きては居ますけれども・・・『ジュリアナ』ってなあにと子供に尋ねられても、それだけで長い説明が必要かもしれませんね。
『ジュリアナ』は、いつか伝説になってしまうんでしょうね。
さて、番組は導入からカメラワークがリズミカルで楽しめました。
扉を開いてカメラが入ってくる。或いは、3Dのような回り込みで主役の先生の様子を伺うように寄っていく。絵コンテのようなものがあったのかしら。BGMは選択素材が決められていたのでしょうか?ドキュメンタリーと言うよりも、映像作品のように楽しめる音楽の付け方でしたね。番組時間以上の共有感が感じられたのは、この選曲効果もあったように思います。
奇抜さはないけれども、先生が説明しているところは無音。制作者の説明や推測でのみ音楽が使われている。ドキュメンタリーの基本もしっかりしていて製作者のノウハウの厚味も感じました。主役の先生が「メタンハイドレード」と出逢うシーン。若い時の1枚の写真なのに、再現ドラマのような効果ありました。その後の実験中のムービーなど、素材を良く揃えることが出来ましたね。バブル期以降のドキュメンタリーだから出来ることかなぁと思いましたけれども、こう言う時のために何時でも利用しやすいように整理されていたのかしら。
化石資源だと一言に片付けられそうだけれども、新しい天然資源だし日本国内で採集できるという「メタンハイドレード」と言うものが何かも良く分かったし、30分のドキュメントとして時間以上の充足感がありました。番組時間以上の時間を共有できた感じです。
それに手前味噌で褒め過ぎかもしれないけれども、東大の先生が生き生きと描かれていました。等身大が描かれていたというか、ドキュメンタリーにありがちな感じが無くて親近感も持てる『画』になっていました。特にメタンハイドレードとの出逢いのくだり、学生たちとの飲み会、ラストのビデオレターでの笑顔が良く録らえられていましたね。これは共感あってお互いに見せる、見つけることが出来る表情だと思いました。東大の先生の人柄なのかもしれないけれども、それを素直に映像の魅力になっていました。これは特別に素敵な、他の演出家だと違う一編になっていたところではないかしら。
放送は7月7日にも、BSで放送されます。
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